塗装業者さんが私に行ってらっしゃいは、変じゃない?

チャイムが鳴ったため出ると、一緒に高校に通学している友達2人が足場に登って遊んでいた。 私、「ヤメてよ」 友達@、「少しくらい良いじゃない」 友達A、「オバさん(私の母親)はいないんでしょ?」 友達が、私の母親がいないことを前提に聞いてきたのは、私の母親が早朝から働きに出ていることを知っているから。 私、「うん」 友達A、「だったら良いじゃない」 足場をジャングルジム代わりに遊んでいた私達が、急に大人しくなったのは、外壁塗装を行う業者さんの車が停まったから。 足音を立てずに足場の階段を降りる私達に 業者さん、「今から学校?」 私達3人、「はい」 業者さん、「いってらっしゃい」 友達2人、「行ってきます」 私が「行ってきます」と言えなかったのは、ここは私の家だから。 自転車で走り出すと 友達@、「どうして、行ってきますって言わなかったの?」 私、「私の家なんだから、業者さんが行ってらっしゃいと言うほうがオカシイんじゃないの」 友達@、「そう言われると、そうね」 授業を終え、友達2人と家に帰ると 業者さん、「おかえり」 私達3人、「ただいま」 家に入ると 友達@、「行ってきますは言えない人が、ただいまは言えるの?」 私、「言えるわよ、私の家なんだから」 友達@、「あっそっか」 私、「あっそっかじゃないわよ。どうして、貴方達が自分の家でもないのに、ただいまって言うの?」 友達A、「そう言えばそうね」 友達らと家で勉強をしているフリをしていると、母親が帰って来た。 業者さん、「おかえり」 母親、「ただいま」 私達3人、「???」 母親が早朝から働きに出ているのは、私の家は母子家庭だから。 家に帰っても誰も居ないのが当たり前の私にとって、塗装業者さんが言ってくれる「おかえり」、「行ってらっしゃい」は、今は会えない父親に言われている気がして照れ臭かった。

宮崎の外壁塗装